結論からいく
人は弱い。
管理職がまず知っておくべきのは、これだけだ。
人は自分に甘い。
人は自分を守る。
追い込まれたら、平気でウソもつく。
強い人間なんて、
現場じゃ見たことがない。
いるのは、
保身する人間だけだ。
だから管理職は、
人に期待するな。
正直さを信じるな。
信じるべきは、人じゃない。
仕組みだ。
この前提を外すと、
管理は全部ズレる。
人は弱い。これは性格じゃなく「仕様」の話

まず、はっきりさせとこう。
これは「性格が悪い」とか「根性が足りない」とか、
そういう話じゃない。
人は弱い。最初からそう作られてる。
「アイツは意識が低い」
「最近の若いのは責任感がない」
――現場で、よく聞く言葉だよな。
でもな、
オレは何十年も働いてきて思う。
時代も、年齢も、立場も関係ない。
人はみんな、
・怒られたくない
・損したくない
・評価を落としたくない
この感情から逃げられない。
たとえば、ミスに気づいた瞬間。
頭の中は、こんな順番になる。
「ヤバい」
「怒られる」
「どう言い訳しよう」
この反応、
考える前に出る。
反射だ。
理屈じゃない。
だからな、
「正直に言え」って言葉、
実はかなりハードルが高い。
正直に言うってのは、
・自分の評価を下げて
・責任を引き受けて
・叱られる覚悟をする
ってことだからな。
そんな強さ、
常に出せる人間なんて、ほぼいない。
管理職も同じだ。
上に報告するとき、
都合の悪いことを
少しマイルドに言ったこと、ないか?
オレはある。
つまり、
管理職も例外なく弱い。
だから覚えといてほしい。
人は弱い。
それは欠点じゃない。
前提条件だ。
この前提に立てると、
「なんでやらない?」が
「どうすれば崩れない?」に変わる。
管理の視点が、
ここで一段、下がる。
脳は「正直さ」より「生存」を優先する

結論から言う。
人の脳は道徳より、生存にまず全振りする。
人間の脳は、
危険を感じた瞬間にモードが切り替わる。
理屈より先に、反応が出る。
・評価が下がる
・怒られる
・立場を失う
こう感じた瞬間、
脳はこう判断する。
「まず守れ」
ここで大事なのは、
この判断が 無意識 だってこと。
考えて選んでるわけじゃない。
反射に近い。
行動経済学で有名な
ダニエル・カーネマン は、
人の判断には
「速い思考」と「遅い思考」があると言っている。
ミスに気づいた瞬間に動くのは、
常に 速い思考 の方。
- どうやったら回避できる?
- 嘘でごまかせる?
- 誰かのせいにできないか?
つまり、
- ・冷静な判断
- ・道徳
- ・正しさ
こういうものは、
あと回しにされる。
だから現場では、
こんなことが起きる。
・事実をそのまま言えない
・言葉が濁る
・とりあえず黙る
これ、
教育が足りないからでも、
意識が低いからでもない。
脳の仕様だ。
ここで管理職が
よく勘違いする。
「正直に言える雰囲気を作ろう」
「教育で変えよう」
悪くはない。
でも、限界がある。
なぜなら、
危険を感じる構造が変わっていない限り、
脳は必ず守りに入るからだ。
だから、結論はこれ。
人は弱い。
脳がそう動く。
正直さを求める前に、
まずやるべきことがある。
正直でいなくても、
事実が出てくる仕組みを作ること。
管理職がやるべき仕事は、人を変えることじゃない

ここまでの話を、
いったん整理しよう。
・人は弱い
・脳は生存を最優先する
・危険を感じれば、黙るし、歪める
――ここまで分かってて、
まだ「人を変えよう」とするのは、
正直しんどい。
というか、
無理がある。
管理職がハマりやすい罠がある。
・意識を高めよう
・責任感を持たせよう
・正直に言える人間を育てよう
気持ちはわかる。
オレも散々やった。
でもな、
そのたびに現場はこうなる。
・言葉だけよくなる
・本音は出なくなる
・水面下で同じことが繰り返される
人は変わらない。
少なくとも、
管理職の期待どおりには。
じゃあ、
管理職は何をするのか。
答えはシンプルだ。
人をいじらない。
流れをいじる。
たとえば、
・誰がやったかを追わなくても
どこでズレたかわかるか
・報告しなくても
異常が見える仕組みになっているか
・一人が黙っても
止まる構造になっているか
ここを見る。
犯人探しをすると、
一瞬スッキリする。
でもな、
それで次は防げない。
人を叱っても、
人を替えても、
脳の動きは変わらないからだ。
管理職の仕事は、
強い人間を作ることじゃない。
弱いままでも
事故が起きにくい現場を作ること。
これができると、
不思議と空気も変わる。
・無理なウソをつかなくなる
・早めに止めるようになる
・小さい異常が拾える
人が良くなったんじゃない。
構造が人を守ってる。
人は弱いから仕組みで強くする。
ここまで読んでくれたなら、
もうわかってるはずだ。
人に期待しても、現場は変わらない。
変えられるのは、
やり方と流れだけ。
だから改善策は、
この3つに絞る。
誰が作業したかが「自動で残る」仕組みを追求する
まず最優先はこれ。
誰がやったかを“問い詰めなくても”分かる状態。
そのためにやることはシンプル。
- 作業前に必ずサイン(記名・入力)
- 重複作業の禁止
- バックアップ作業の禁止
ポイントは、
「あとから聞く」じゃない。
そもそも作業者が一人で責任もって
作業を完結させる。
誰がやったかわからないような作業にならないように
原則他の作業者が手伝ったりしない。
さらに
作業と同時に履歴が残ること。
これがあるだけで、
- 記憶に頼らない
- 言った言わないが消える
- 無駄な疑い合いが減る
人は変わらないけど、
空気は確実に変わる。
作業者にミスをさせない仕組みを追求する
次にやるべきはこれ。
「注意しろ」「気をつけろ」を全廃する。
口で言うだけでミスが減るなら誰も苦労しない。
代わりにやるのは、
- 作業を簡略化する
- 作業を細分化する
- 正誤判断を人にさせない
正しいかどうかは、
機械に判断させる。
人間に判断させるから、
迷うし、飛ばす。
迷わせない設計に落とす。
これだけで、
ポカは激減する。
ポカミス対策は「現場チーム」で作らせる
ここ、かなり大事だ。
管理者が勝手に対策を作らない。
なぜか。
現場を知らない対策は、
必ず形だけになる。
だから、
- ポカミス対策は現場チームで考える
- 管理者は口を出しすぎない
- 作業者目線で「実際に使える」対策にする
このやり方だと、
不思議なことが起きる。
- 守られる
- 続く
- 勝手に改善される
人が立派になったわけじゃない。
自分たちで作った仕組みだからだ。
ポカミスの履歴は「見える場所」に置く
ポカミスは、
忘れられた瞬間に再発する。
だからやることは一つ。
- ポカミスの履歴を記録する
- 休憩所や掲示板など、誰でもいつでも見える場所に置く
「読め」じゃない。
目に入る状態にする。
対策を決めたら、
その内容は 作業工程側にも掲示する。
- 手順が変わった
- チェックが増えた
- 判断を機械に任せた
これを
「知ってる前提」にしない。
見れば分かる形に落とす。
人は弱い。
だから、
- 記憶に頼らせない
- 意識に期待しない
- 見える仕組みにする
それだけでいい。
改善策の結論
もう一度言う。
- 正直さに期待しない
- 意識改革を狙わない
- 根性論に逃げない
弱い人間でも、
黙ってても、
ミスが減る構造を作る。
それが、
管理職にできる一番の改善だ。
期待を捨てて、仕組みに全振りする

最後は、かなり身もフタもない話をする。
管理職は、人に期待しない方がいい。
冷たい意味じゃない。
現実的な意味だ。
期待すると、
裏切られたと感じる。
「この人なら大丈夫だと思った」
「前はできてたのに」
この瞬間から、
管理は感情戦になる。
怒り、失望、説教。
そしてまた、
ミスは繰り返される。
一方で、
期待を捨てると何が起きるか。
見る目が変わる。
・誰がやったか → どこで起きたか
・なぜ黙ったか → なぜ止まらなかったか
・気合が足りない → 仕組みが抜けてる
視点が、人から構造に降りてくる。
仕組みってのは、
大げさなもんじゃない。
・確認しないと進めない流れ
・置き場が決まっていて迷わない
・異常が出たら止まるだけのルール
これだけでいい。
正直さも、
勇気も、
根性もいらない。
ここで一番大事なことを言う。
仕組みは、人を信じないために作るんじゃない。
人が弱くても、現場が壊れないために作る。
この違い、デカい。
もう一度、最初の結論に戻ろう。
人は弱い。
だからこそ、
管理職がやるべきなのは――
・怒ることじゃない
・問い詰めることじゃない
・期待をかけることでもない
ただただ、
仕組みを追求すること。
しんどい仕事だ。
派手さもない。
でもな、
現場を一番守るのは、
いつもここだ。
オレもまだ途中だ。
一緒に、
淡々とやろう。