「辞めないで」と言う前に、会社は何をくれるんだ?【後編】“ズルい制度”の中で、現場が自分たちを守るには?

マサル

半導体工場で派遣から正社員となり最年少で課内最優秀社員に選出。早期退職後、農業スタートアップや期間工を経験。現在は自動車部品メーカーで働きながら、副業(ブログ運営、YouTube編集、バーテンダー)や資産形成(iDeCo、NISA、不動産投資)を実践中。多彩な経験を活かし、働き方や生き方を模索し続ける。

「マイナス人員で現場回してんのに、どうやって教育すんねん。俺も仕事してんねんぞ」
…この言葉に「それな!」ってうなずいた人は、多分いま一番しんどい立場にいる。
でもな、制度が守ってくれへんのやったら、自分たちの“守り方”をつくるしかないんや。


今日の申し送り(後編)

会社が守ってくれないなら、現場にできる“守り方”を決めよう。


制度に期待しすぎない。でも、あきらめすぎない

正直、もう会社の制度には期待できん。
年功序列は終わった。
ジョブ型です、成果評価です――って言われるけど、現場のやり方は何も変わらない。

それでも人は辞めていく。
教えても報われない。
上からは「育成しろ」「定着させろ」。
…いや、「俺も作業してんねん」って話やろ。

それでも現場は止められん。
だったらこう考えるしかない。

「制度があてにならんのなら、現場の“やり方”を変える」
「守ってもらえへんのなら、自分たちの“守り方”をつくる」

 


明日からできる「現場の守り方」3選


育て方を“決めごと”にする(属人化をやめる)

辞めたKさんが有能すぎて、その後入ったMさんが大変やった。
感覚で教えて、「まあ、見て覚えてくれ」的なノリで放置。
気づけば2か月たっても、一人で任せられん。

…これ、KさんのせいでもMさんのせいでもない。
“教え方がバラバラ”やった現場の責任。

たとえば:

  • 初日は〇〇だけ
  • 3日目までにこれをマスター
  • 1週間でここまで到達

ってふうに、**細かく分けて「ステップごとに教える」**と、めっちゃ効果ある。
“できたら次へ”のやり方は、教える側も楽になる。

誰が教えても同じになるように、決めとくこと。
これが、辞められても慌てない現場の土台になる。

 


「言ってないけど分かってよ」は、もう通じない

前に、中途で入ったAさん(年配の方)にざっくり説明して、「まあそのうち分かるやろ」で放置したことがある。
求人には“懇切丁寧に指導します”って書いてたのに、実態は「聞いてくれたら答える」スタイル。

結果、その人は怒って辞めていった。

「これ、話が違うじゃないですか」って。

たしかに、悪いのはウチかもしれん。
でも、それくらい**“言葉にして伝えること”が大事になってきてる時代**なんやと思う。

たとえば:

  • 「最初の1週間は聞いてばっかでもOKやで」
  • 「最初に失敗するのは想定済み」
  • 「ミスより黙ってるほうがあかんで」

こういう言葉があるだけで、相手も安心して動けるようになる。

 


辞めてもつながる」関係をつくる

現場でよくあるのが、「辞めたら関係終了」ってパターン。
でも実は、辞めてもつながってることで助かることもある。

  • 情報を教えてくれたり
  • 人を紹介してくれたり
  • ふと戻ってきてくれることもある

「辞める人=裏切り者」みたいな感覚、もうやめた方がええ。

最後に一言だけでも、

「しんどかったらまた声かけてな」
「うちは出戻りもOKやから」

って伝えておく。
それだけで、辞める人も、残る人も空気が和らぐ。

 


“沈黙”も立派なマネジメントになる

ミスが多いおとなしい新人さんがいたとき、正直かなり厳しく当たってしまった。
真面目な人やったけど、辞めていった。
「あれはやりすぎたな…」って今でも思う。

たぶん、“指導”のつもりやったんやけど、自分が焦って、しゃべりすぎてただけやった。

  • 失敗しそうで止めた
  • 質問がないと不安で全部先に説明した
  • 黙ってると「分かってないんやろ」と思って怒った

でも、実は「見守る」「黙って見てる」って時間も必要なんやな。

沈黙って、勇気がいる。
でも、「任せる」「信じてる」って一番伝わるのは、たぶんそこなんよ。

 


「制度がズルい」と気づけたあなたは、もう動ける側だ

今の制度は、どう見ても中途半端や。
年功序列はなくなった。
ジョブ型も言葉だけ。
評価も育成も丸投げで、現場が尻ぬぐいしてる。

でもな。

「これ、おかしくないか?」って気づいたあんたは、もう“待つ側”じゃなく“動く側”や。

完璧を目指さんでもいい。
自分たちで「こうやって守ろう」「こう教えよう」ってルールを小さく作っていく。

それが、制度のズレに振り回されない“強い現場”の始まりやと思う。


✅ 次のアクション

  • 育成のステップ、まず3段階に分けて書き出してみる
  • いまの若手に「やりにくいところあった?」と聞いてみる
  • 自分が辞めるとしたら、現場はどうなる?って逆に考えてみる

「辞めないで」と言う前に、今いる現場を見直そう。
制度に振り回されるんじゃなく、現場が主導権を持とう。
その第一歩が、リーダーの“ちょっとした違和感”から始まるんや。

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マサル

半導体工場で派遣から正社員となり最年少で課内最優秀社員に選出。早期退職後、農業スタートアップや期間工を経験。現在は自動車部品メーカーで働きながら、副業(ブログ運営、YouTube編集、バーテンダー)や資産形成(iDeCo、NISA、不動産投資)を実践中。多彩な経験を活かし、働き方や生き方を模索し続ける。