「工場でキャリアアップなんてムリだよ」
15年この世界で働いてきて、正直そう言い切りたくなる場面を何度も見てきた。
なぜか？
がんばっても出世できない、スキルは身につかない、評価は上司の“好き嫌い”しだい。
工場で働く限り、出世のルールは不透明だし、現場でキャリアを積むのはめちゃくちゃ難しいのが現実だ。
でも最近、「工場勤務を考えてるけど、将来性ありますか？」って聞かれることが増えてきた。
だから今回は「工場でのキャリアアップは難しいよ」ってテーマについて、ウソ抜き・飾りなしで語ってみたい。
これは夢を売る記事じゃない。
でも、自分なりの希望の持ち方なら、きっと見つかると思ってる。
工場でキャリアアップは難しい
結論から言うと、ホントだ。
これは経験から断言できる。
「がんばればそのうち認められる」
「未経験からでも出世できる」
そう信じて入ってきた仲間たちの何人が、いま“その先”に行けてるか。
答えは……ほとんどいない。
たしかに工場って、
最初はわかりやすいんだ。
決まった作業、決まった時間、
決まったルール。
未経験でも覚えればできるし、
最初は「悪くないな」と思う。
でも問題はその先。
**「続けたら、どうなるか？」**が見えないまま何年も過ぎていく。
俺が15年工場で働いてきた中で感じたのは、
「工場はキャリアアップが設計されてない場所」ってことだ。
出世するためのルールが見えない。
評価される基準も、スキルアップの仕組みも、あるようで実はほとんどない。
そして、これは俺の感覚だけじゃない。
たとえば、**労働政策研究・研修機構（JILPT）**がやった調査でも、
「上司の評価しだいで出世が決まることが多く、客観的な基準がないことがキャリアの不安要因になっている」
って報告されてる。
要するに、「何をがんばればいいか」がわからない職場ってことだ。
もちろん、昇格する人はいる。
でも、それは「工場で働いてるからこそチャンスがある」んじゃなくて、
“たまたまその環境が良かった”とか、“上司と相性が良かった”とかの話が多い。
だから、
「未経験からでもチャンスあります！」みたいな言葉には、正直ちょっとモヤモヤする。
現場で働いてる人ならわかると思う。
「口だけ元気なやつ」よりも、「黙々とやってるやつ」が報われないこと、よくあるよな？
でもね、それでも俺はこの働き方を全部否定する気はない。
問題は
知らずに飛び込んであとで絶望すること”だと思ってる。
だからこそ、次の章で、
「じゃあなんで工場はキャリアアップしにくいのか？」を、もっと具体的に話していく。
なぜ工場勤務では
キャリアアップしづらいのか？
理由はシンプル。
工場って、「キャリアを積む場所」として設計されてないからだ。
現場で働く人に求められるのは「作業をこなすこと」。
でも、その作業ってのが、基本的にマニュアル化されてて、判断も裁量も少ない。
つまり、「がんばって工夫しました！」ってことが、そもそも評価されにくいんだ。
スキルが身につかない
「その仕事、他の会社でも通用する？」って聞かれたとき、
胸を張って「はい」と言える人は、正直少ないと思う。
なぜなら、工場の多くは**「特殊技能が要らない仕組み」に最適化されてる**から。
だれでもできるように、効率化されて、細かく分業されてる。
つまり、“応用のきかない経験”が増えがちなんだ。
転職市場では、この「汎用性のなさ」が致命傷になる。
人事構造がピラミッド型で
ポストが少ない
工場の組織って、めちゃくちゃシンプル。
上には「工場長」「課長」「係長」、下には「一般作業員」。
でも、この上のポストが圧倒的に少ない。
だから、出世＝椅子取りゲームになってる。
しかも、その椅子をめぐってるのは、
・大卒で出世コースに乗った社員
・現場たたき上げで信頼を積んできたベテラン
この両者がバチバチに競ってる。
未経験者がそこに割り込むのは、正直、かなりキツい。
出世しても、転職では評価されない
これも地味にデカい問題。
「係長になりました！」「班長として現場をまとめてます！」
たしかにすごい。でも、その肩書きが他所では通用しないことが多い。
なぜかというと、
工場の評価って、その会社のなかだけで通用する「社内通貨」だから。
たとえばIT業界なら、「○○言語が書ける」「実績は○○件」とスキルで語れる。
でも工場の仕事って、“俺、ちゃんとやってました”しか言いづらいんだよな。
これらの構造的な理由から、
「キャリアアップを目指す＝人生を賭ける覚悟が必要」な世界になってる。
しかも、それだけ背負って出世しても、
いざ転職したら“ただの作業員”扱いされることもある。
そりゃ、「このままここで終わるのか？」って思うよな。
ただ、これは「諦めろ」って話じゃない。
この現実を踏まえたうえで、
**「じゃあどう動けばいいのか？」**がわかってくる。
次は、実際にがんばっても評価されない人の共通点について話す。
自分がそっち側にいないか、ちょっとチェックしてみてほしい。
出世できない人に共通すること
「がんばってるのに、なぜか評価されない」
これ、工場あるあるだよな。
オレのまわりにも、真面目に遅刻せず、黙々と働いてるのに、
ずーっと同じ立場のまま…って人、何人もいた。
逆に、なんでこの人が？って感じの人が班長になったりしてる。
そこには、**“見えないルール”**がある。
共通点①
「言われたことだけやる」
これは本人に悪気がない場合が多い。
でも上から見ると、
**「指示がないと動けない人」**って判断されがちなんだ。
ミスも少ないし、サボってるわけでもない。
でも、「こっちの判断を待ってるな」って雰囲気があると、
“リーダー候補”にはならない。
共通点②
上司と接点がない。
「仕事で結果出せばそれでいい」
そう思いたいよな。オレもそうだった。
でも現実は違った。
結局、人が人を選ぶ世界なんだよ。
雑談、相談、たまの飲み会――
そういう“信頼を積む時間”が、評価に直結してたりする。
冷めた言い方だけど、
「上司に安心感を与える」ことが出世のカギになる場合もある。
共通点③
「実力」結果がエグくないとムリ
じゃあ付き合わずに、実力で勝負するには？
それもできる。ただし条件はキツい。
・改善提案でコスト大幅ダウン
・工程を短縮して生産性向上
・後輩の育成で全体の事故率が減った
とか、「誰が見てもすごい」と思える数字を出す必要がある。
で、それって一朝一夕じゃムリ。
評価されるまでに年単位の時間がかかるのが現実。
つまり、「仕事ちゃんとしてれば上がれる」は幻想に近い。
そして忘れちゃいけないのが、
現場作業者と管理側のあいだには、はっきりと“壁”があるってこと。
これは構造の問題だ。
離職率が高い工場ほど、その傾向は強い。
たとえば経済産業省の『ものづくり白書』でも、
「中小製造業では技能の属人化やキャリアの閉塞感が若年層の離職要因になっている」
って書かれてる。
つまり、ちゃんとやってても「その先が見えない」から辞めていく人が多いってこと。
ここまで読んで、「じゃあ未経験者なんてもっと厳しいのでは？」って思ったかもしれない。
そのとおりだ。
次の章では、未経験で入った人がどこで苦しみ、どこで踏ん張るかについて話す。
中途採用は見込みなし？
「未経験OK！」
「誰でもできるカンタン作業！」
求人にはそう書いてある。
たしかに、最初の入り口としては間違ってない。
でもその先――**“続けて成長する”**って話になると、話はガラッと変わってくる。
教えてくれるかどうかは“人しだい”
配属されるライン、シフト、上司、先輩。
そこにどんな人がいるかで、教わる内容もスピードもぜんぜん違う。
・丁寧に教えてくれる人
・質問しても「見て覚えろ」ってタイプ
・そもそも新人の面倒を見る余裕がない現場
こういうバラつき、めちゃくちゃ多い。
つまり、どんな育成環境に当たるかは“運”の要素が強い。
厚生労働省の調査でも、
「OJT（職場内訓練）だけで人材育成をしている企業が多く、キャリアパスの整備が不十分」
ってはっきり出てる。
（※出典：厚労省『令和5年 能力開発基本調査』）
“育つ人”はどうしてるか？
オレが見てきたなかで、未経験からちゃんと育った人たちには共通点がある。
それは、「わからないままにしない」ことを徹底してるってこと。
・教わったことをすぐメモる
・理解できてないことを放置しない
・あいまいな指示は確認する
・小さな変化に気づいて、勝手に学ぶ
要するに、「教えてくれる人がいない」なら、自分で吸収する姿勢を作ってた。
それが自然と周囲に伝わって、
「こいつ、なんか伸びそうだな」って目で見られるようになる。
“つまずく人”はどこで落ちるか？
逆に、未経験で入ってきて、すぐ辞めてく人たちは、
・何がわからないのかもわからない
・誰にどう聞いていいかわからない
・質問して怒られて萎える
・理不尽な扱いに耐えられない
…って状態になることが多い。
オレはそれを見てきたし、正直「そりゃキツいよな」と思う。
でも、その瞬間を乗り越えた人は、ちゃんと生き残ってる。
ここが大事なんだけど、
未経験って「できないことが当たり前」なはずなのに、
現場では“最初から動けて当然”みたいな空気があるんだよな。
そのギャップに耐えられるかどうかが、最初のふるいになる。
未経験者にとって、工場はたしかにチャンスでもある。
でも、**「放置されたまま、消耗して終わる」**可能性もある。
次の章では、そんな中でも“工場でキャリアを築こうとするなら”知っておくべき現実について話す。
工場でキャリアを築きたいなら知っておくべき現実
「工場でキャリアを積みたいです」
そう言う人に、オレは**「じゃあ、いくつか覚悟しといたほうがいい」**って話をするようにしてる。
なぜなら、**“がんばるだけじゃ報われない現実”**がいくつもあるからだ。
その壁を知らずに飛び込むと、どっかで心が折れる。
クビにはなりにくい。
でも“飛ばされる”ことはある
工場って、たしかに安定してる。
ちょっとやそっとじゃクビにはならない。
でもその代わり、
「お前、あそこに異動な」って突然別部署に飛ばされることはよくある。
特に“使いづらい”って思われると、
・誰もやりたがらないライン
・雑用とルーチンしかない部署
・人が何人も辞めていった現場
こういうとこに「とりあえず置かれる」ケースが多い。
言葉を選ばずに言えば、“現代の姥捨て山”みたいな場所はたしかに存在する。
体を壊すリスクは？
中小は特に要注意
工場＝肉体労働だから、身体への負荷は当たり前にある。
でも、大手は最近かなり安全対策をしっかりやってる。
腰痛・熱中症・騒音・繰り返し動作（反復疲労）…
こういうのに対しても教育や改善が進んでる印象がある。
一方で、中小の現場はまだまだ「気合いと根性でなんとかしろ」的なノリが残ってたりする。
実際、経済産業省の『ものづくり白書』でも、
「現場環境の改善が進んでいない中小工場では、若手人材の定着が難しい」
って指摘されてる。
将来どうなるか？
ほとんどは“平”のまま終わる
これがいちばんの現実かもしれない。
工場って、管理職コースと現場コースが分かれてる。
工場長・部長・役員は、ほとんどが大卒のエリート組で構成されてる。
現場で働く人間は、よくて課長止まり。
それもごく一部の“選ばれし者”だけ。
つまり、ほとんどの人が**「一般作業員として働いて、そこでキャリアが終わる」**のが現実。
ただね、ここでひとつ考えてほしい。
じゃあ、この場所を“終わり”じゃなくて、“土台”にできたらどうだろう？
次は、そのヒントになる話をしようと思う。
「キャリアアップ＝出世」じゃなく、
**“工場を活かしながら、自分の人生をつくっていく”**って選択肢の話だ。
結論：キャリアアップは
“工場の外”でやれ
オレは今、工場で働きながら、副業と資格の勉強をしてる。
別に、出世を諦めたわけじゃない。
むしろ、改善提案で表彰もされたし、昇進の話もあった。
でも、あえて断った。
なぜか？
この15年で、工場の構造がどうなってるか、痛いほど見えてしまったからだ。
評価されたところで、それが転職で武器になるかといえば違う。
管理職になっても、責任だけ増えて自由は減る。
だったらオレは、外の世界に目を向けて、スキルと選択肢を自分の手で増やす方を選んだ。
工場は“ベーシックインカム”
だと思えばいい
はっきり言う。
工場の給料って、高くはない。
でも、「一定のお金を安定してもらえる場所」ではある。
これを“生活の土台”として割り切ってしまえば、
あとは空いた時間をどう使うかが人生を左右する。
副業、勉強、投資、趣味、資格――
いまって、スマホひとつあれば学べるし、動ける時代じゃん。
工場で働きながら、
こんな人も見てきた
・副業の転売で月10万以上稼いでるヤツ
・、動画編集で副業しているヤツ
・農業やって自分で野菜売ってるヤツ
・SNSの発信で自分の商品販売しているヤツ
・資格取得して収入アップしたヤツ
みんな最初は“平の作業員”だった。
でも共通してるのは、「工場をゴールにしてなかった」ってこと。
いちばん大事なのは
“選択肢を自分で増やす”って意識
キャリアアップって、
「上に行くこと」じゃなくて、
**「自分の可能性を広げること」**でもある。
だから、
工場で評価されなくてもいい。
出世レースに乗れなくてもいい。
そのかわり、
「自分の時間をどう使うか」には本気になったほうがいい。
オレが伝えたいのはこれ：
工場は、終点じゃない。スタート地点にもできる。
ここをうまく使えば、人生けっこうおもしろくなるぞ。
【まとめ】工場でキャリアップなど、ただの寝言だ。
工場でキャリアを積むのは、たしかに難しい。
でもそれは、あなたの努力が足りないとか、やる気がないからじゃない。
“そういう仕組みになっている”だけの話だ。
・スキルが外で通用しにくい
・出世ポストが限られている
・評価基準があいまい
・現場と管理の間に壁がある
それでも、「がんばれ」と言われ続ける現場の人たちが、
どれだけ消耗してきたか、オレは知ってる。
でもだからこそ言いたい。
「このままじゃイヤだ」と思ったなら、それはチャンスだ。
出世レースに乗らなくたっていい。
副業だっていいし、資格でも、転職でも、農業でもいい。
工場で安定を得ながら、“外”に一歩踏み出す道はいくらでもある。
自分の人生を変えるのは、「出世」じゃなくて「選択肢」だ。
工場は、決して悪い場所じゃない。
でも、ここを“終点”にするか、“通過点”にするかは、自分しだい。
出世しなくてもいい。
でも、自分を停めないことだけは、大事にしていこうぜ。
