モチベロス労働。工場勤務は“気持ち”を捨ててこそ安定する。

工場にやる気は必要ないと訴えるイラスト

マサル

半導体工場で派遣から正社員となり最年少で課内最優秀社員に選出。早期退職後、農業スタートアップや期間工を経験。現在は自動車部品メーカーで働きながら、副業(ブログ運営、YouTube編集、バーテンダー)や資産形成(iDeCo、NISA、不動産投資)を実践中。多彩な経験を活かし、働き方や生き方を模索し続ける。

「工場でやる気?」
 「そんなもん、いらねぇよ」

正直、そう思ってるやつ、けっこう多いと思う。オレもそうだった。

朝から晩まで同じ作業。誰に感謝されるわけでもないし、終わっても達成感なんかない。
そんな現場で「モチベが〜」「前向きに〜」なんて言葉が飛び交った日には、ちょっと笑えてくるよな。

でもさ。
「やる気なんかいらねぇよ」って突っぱねてるうちに、自分のことまで“どうでもよく”なってきてないか?

オレは昔、それで心まで止まりかけた。
でも、ある時ふと思ったんだ。

「やる気を出す場所、
間違えてただけかもな」
って。

工場では稼ぐ。それだけ。
でも、気持ちが動く瞬間は、別の場所にあっていい。

今回はそんな話をしようと思う。

工場にモチベはガチ不要。

正直、オレにも“完全にやる気ゼロ”の時期があった。

最初に勤めた半導体の工場。
あのときはほんと、今思い出してもヤバかった。
得意だったはずの「ミスしない仕事」も、全然集中できなくなって、連続でやらかした。
気づけば、顔も暗くなってて、自分でも「これ、鬱一歩手前だな」って感じてた。

でも、辞める間際にふと思ったんだよ。

「あの働き方、あの心の持ち方、ダセぇな」って。

しんどいのは仕方ない。
やる気なんか出なくて当然。
でもだからって腐って、投げやりになるのは違うなって、あの時の自分を見て思った。

それからは、気持ちの置き場所を変えるようにした。
工場では割り切って、
最低限の責任だけ果たす。

気持ちを燃やすのは、
家族との時間、副業、資格取得――
そういう「自分の未来につながる場所」にだけにした。

今は常に「いつ辞めてもいい状態」をキープしてる。
資産も積んで、選択肢を持ちながら働いてる。
でも、いま辞めないのは「辞める理由がないから」。それだけの話。

オレにとってのモチベは、工場じゃなくて、“工場の外”にある。
そのことに気づいてから、仕事はずっとラクになったよ。

工場にモチベはいらない理由。

モチベーションVS仕組み図

「やる気を出せ」とか、
「前向きに頑張ろう」とか――
正直、そう言われても、オレにはまったく響かなかった。

だって現場ってのは、モチベなんかなくても回る場所なんだよ。

求められてるのは“ロボット”

ライン作業もピッキングも、やることは決まってる。
やる気があるからって工程が変わるわけでもないし、気合い入れたところで「ありがとう」なんて返ってくるわけでもない。
それに、ちょっと調子よくやってると、「お前だけ先走んな」なんて言われる始末。

だから、ある時ふと気づいた。

「ここで求められてんのは“やる気”じゃなくて、上の都合に黙って従う“ロボット”なんだな」って。

指示された通りに、言われたことだけをやる。
それ以上のことをしても評価されるわけじゃないし、逆に「余計なことすんな」って怒られたりする。

工場はそもそもやる気が出ない環境

もちろん、真面目にやることは大事だ。
でも、“モチベーション高めろ”って話になると、それはちょっと違う気がする。
実は心理学でも、同じようなことが言われてる。

モチベーションの研究で有名なデシ&ライアンの「自己決定理論」ってのがあって、
人は“自分で選べてる”って感覚があるとき、一番やる気が出るって言われてる。

つまり、あれこれ指示されるだけの環境でモチベが出ないのは、オレらのせいじゃない。
環境的に「そういうもん」って話なんだよ。

※出典:Deci, E.L. & Ryan, R.M. (1985). Intrinsic Motivation and Self-Determination in Human Behavior.

モチベの強制自体ストレスな若者

「決められたことを、決められた通りにやる」
現場で一番重宝されるのは、そういう“感情を切った働き方”だ。

だから、あえて言う。

工場にモチベはいらない。むしろ、ない方が安定する。

オレはそう割り切ったら、気持ちがラクになった。

ちなみにこれ、オレだけの感覚じゃない。
リクルートワークス研究所の調査(※)でも、製造や物流系で働く若手の中には、
「やる気を出せって言われること自体がストレス」って感じてる人が多いらしい。

モチベなんかいらねぇって感じるの、わりとフツーのことなんだよ。

※出典:リクルートワークス研究所「働く20代のリアル2023」

頑張るってなに?

「頑張れば報われる」?
そんなの、現場じゃ通用しない。

オレも最初はそう思ってたよ。
ちゃんと意見を言えば、通る。
ちゃんと工夫すれば、評価される。
でも現実は違った。

上は“頑張り”なんて求めていない

前例で改善案をブロックされる。

上が求めてんのは“頑張り”じゃない。
ただ、自分の都合どおりに動いてくれる“静かな作業員”。

良かれと思って言った意見も、毎回「いや、それはさ…」で潰される。
こっちは現場目線で考えてんのに、あっちは「前例」と「過去のやり方」でしかモノを見ない。
いざ改善しようとしても、そもそもスケジュールがパンパンすぎて、創意工夫なんてやってる時間がない

変わったことをすれば、即・異物認定。
空気読まずに動けば、「あいつ、ちょっと出しゃばってるよな」で終わる。
これが現場の“頑張った末路”だ。

一度だけ、本気で頑張った経験

オレも思ってたよ。
「作業をこなすだけなら、誰でもできる。
 だからそれ以上をやるのが“頑張る”ってことだろ?」って。

でも――やりたくても、やれない。

それでもオレ、一度だけ、本気で頑張ったことがある。

現場を変えたくて、革命を起こしたくて、
同僚にも、上司にも根回しして、
誰も見てなかったデータを独自に集めて、
「今まで誰もやれなかった改善」をやりきった。

結果、最優秀社員。表彰もされた。

環境に“恵まれてただけ”だった

でもな、それができたのは、たまたま「前の職場」が、その頑張りを受け止めてくれる場所だったから。
同僚も上司も、環境も、奇跡的にかみ合ってただけ。

今の職場で同じことをやろうと思っても、正直、無理だと思ってる。
時間もなけりゃ、耳もない。
“頑張れる条件”が整ってない。

だからこそ、オレは言い切れる。

「頑張っても意味ない」は、ある意味、マジで正しい。

工場勤務のモチベの置き場。

最初の半導体工場を辞める直前。
あの頃のオレは、本当にやばかった。
得意だったはずの「ミスしない仕事」すら集中できず、信じられないようなミスを連発してた。
もう、自分が自分じゃない感覚だった。

モチベゼロと腐るは違う。

でもいちばんキツかったのは、ミスそのものじゃなくて――
腐っていく自分を、止められなかったこと。

心の中では「このままじゃダメだ」ってわかってた。
でも、身体も頭も動かない。
口を開けば、出てくるのは文句とため息ばっかり。

あの頃の自分を思い出すたびに、
**「ダセぇな」**って今でも思う。

だから決めたんだよ。

「やる気なんて出なくてもいい。
 でも、腐った自分にはもう二度となりたくない」って。

主体性があるところにモチベを置く

それからは気持ちの置き場所を変えた。
現場では
「言われたことを淡々とこなすだけ」。
余計な感情は持ち込まない。期待もしない。
モチベも成果も、ここでは求めない。

その代わり――
家族との時間、副業、資格の勉強。
 心を燃やすのは、工場の外だけにした。

さらに、資産もコツコツ築いてる。
いつでも辞められる準備をしながら、今は働いてる。

それでも今の職場をすぐ辞めないのは、
「辞める理由が、まだないから」。それだけ。

オレにとってのモチベーションは、もう“工場の中”にはない。
でも、“外”にちゃんと火を灯してる限り、前に進める実感はある。

モチベは工場の外に置け

主体性のある事にモチベを全力投球する人々

「現場では淡々とこなすだけでいい」
そう割り切るようになってから、だいぶ気がラクになった。

だってさ、もう分かっただろ?
この仕事に“気持ち”を込めすぎると、ズレるだけなんだよ。

現場に期待しすぎると、ズレる

上はお前の気合いなんか求めてない。
同僚は変化より平和を望んでる。
やる気出したら、むしろ浮く。

だからこそ、こう考えるようになった。

「気持ちは外に置こう」って。
 現場じゃなくて、プライベートで火を燃やせばいいって。

オレは今、家族との時間や副業、資格の勉強に力を注いでる。
そこにはちゃんと、やったぶんだけ自分に返ってくる感覚がある。
理不尽もないし、誰かに潰されることもない。

みんなモチベは“外”に置いている。

でな、見てると気づくんだよ。

みんな、けっこう外で心を燃やしてる。

  • 休みの日は、釣りに全振りの先輩
  • 推し活に全力なパートのおばちゃん
  • 夜な夜なバイクいじってる若いやつ
  • 家族との時間を何より大事にしてる人

現場で感情を切ってるように見えて、
実はみんな、
外で“ちゃんと自分を生きてる”。

「やる気を出すなら、工場の中じゃない」
そう思って外に火種を移したら、不思議とバランスが取れてきた。

現場では“無心のプロ”でいい。
感情は外で回復させて、また黙って稼ぎに行く。

それが、今のオレのやり方だ。

まとめ:モチベがなくても
自分をなくすな

ロボットの仮面を外す工場作業員

工場にモチベなんかいらない。
これはもう、言い切っていいと思ってる。

むしろ「やる気あるやつ」のほうが、空回りして浮く。
上はただ、黙ってミスなく動いてくれる作業員がほしいだけ。
意見も工夫も、求められてなんかいない。

それが現場の“正しさ”だ。
で、それはそれで、割り切ればちゃんと金にはなる。
オレたちは、そこに働いてる。

でもな。

その正しさに染まりすぎて、自分の中の火まで消しちまったら、終わりだ。

だからオレは、モチベを現場に求めるのをやめた。
やる気は、外で燃やすことにした。
現場では“感情を切って稼ぐ”。
でも、心のどこかに“オレの火種”だけはちゃんと残しておく。

モチベがなくても、生きてはいける。
でも、自分をなくしたら、生きてる意味がなくなる。

工場ではロボットみたいに働いていい。
でも、全部ロボットにならなくていい。

しんどくてもいい。投げやりでもいい。
でも、自分を嫌いになるような働き方だけは、もうやめようぜ。

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半導体工場で派遣から正社員となり最年少で課内最優秀社員に選出。早期退職後、農業スタートアップや期間工を経験。現在は自動車部品メーカーで働きながら、副業(ブログ運営、YouTube編集、バーテンダー)や資産形成(iDeCo、NISA、不動産投資)を実践中。多彩な経験を活かし、働き方や生き方を模索し続ける。