なぁ、ちょっと聞いてほしいんやけど。
オレ、昔は残業しまくりの働き方をしとった。毎月、残業時間は当たり前のように40時間オーバー。ひどい時は60時間、70時間。それでも当時のオレは、
「今月は手取り増えたぞ! よっしゃ!」
って、給与明細見てニヤニヤしながら家に帰ってたんよ。
でもある夜、遅れて家に帰ったら、リビングの電気だけついたまま、子どもが風呂にも入らずその場で寝落ちしとった。
パジャマにも着替えず、服のまま、ソファの端っこで丸くなって。
その姿を見た瞬間、胸の奥がギュッとなった。
「あれ……オレ、何のために働いとるんや?」
あの感覚は、今でもはっきり覚えとる。
会社から見れば「今日も一日よく残業してくれた社員のひとり」。
でも家族から見れば「今日もパパが帰ってこなかった日」なんよな。
ここから、オレの中で残業に対する考え方がガラッと変わっていった。
この記事は、その気づきと、そこから少しずつ残業に振り回されんようになっていった話や。
残業って本当に“得”してるんか?──まずは現場のリアル

「頑張った月の手取り」…実際どれだけ増えてた?
まず、冷静に思い出してみてほしい。
「今月めっちゃ残業したわ!」って月、手取りは何万円増えとった?
たぶん、多くて数万円ちゃうか?
オレもそうやった。期待して給与明細をひっくり返して見てみると、
- 残業代:+3万
- 手取り:+2〜3万
たしかに増えてはいる。けど、そのために削った時間を考えてみるとどうや?
平日毎日1〜2時間、土曜もちょい出勤。1ヶ月まるごと、家族と自分の時間を差し出して手に入ったのが“たった数万円”や。
それを「得」と呼べるかどうか、一回考えてみてほしい。
残業代は“ボーナス”やなく“たまたま降る雨”
現場で働き始めたころ、オレも残業代をボーナスみたいに感じてた。
「お、今月はちょっと稼げたわ!」
でも冷静に見たら、それってオレの実力で稼いだというより、
**「会社がたまたま忙しかった月に、たまたま雨のように降ってきたお金」**なんよな。
- 忙しい月はドサッと残業を投げられる
- 暇になったら「残業禁止!」の号令ひとつで、あっさりゼロ
こっちは家計を抱えて本気で生きてるのに、
会社は自分らの都合だけで残業の量を上下させてくる。
生活をかけているのはこっち。
都合で動いてるのはあっち。
このバランス、冷静に考えたらだいぶおかしい。
“スケベ残業”に付き合わされる時間ほどムダなもんはない
現場あるあるやけど、ほんまは定時で終わる量の仕事なのに、
- わざと作業ペースを落とす
- 無駄に休憩を長くとる
- ダラダラ片付けしながら時間を引き延ばす
こうやって「今日は残業つけたいんやなぁ…」って空気を撒き散らすメンバー、おるやろ?
で、こっちは早く帰りたいのに、自分だけ帰ろうとすると
「お、今日は早いな〜」
「まだやることあるやろ?」
みたいな、なんとも言えん空気を出される。
いやいやいや、空気を読むために自分の時間を切り売りするって、どんな罰ゲームやねんって話や。
「残業したい人」に合わせて残るのは、
自分の人生のハンドルを他人に渡してるのと同じやで。
会社にとって残業は“理想の制度”、でもこっちのメリットはお金だけ
会社目線で見たら、残業って最高に都合がええ。
- 忙しい時だけ、人を増やしたみたいに使える
- 暇な時は「残業ゼロ」でコスト調整できる
- 社員を増やさず、人手不足をごまかせる
- 社員は「残業で稼げる」と思って喜んでくれる
しかも、こちらが効率化を提案して、残業抑制を訴えた時、
課長から出てきたあのセリフ。
「人件費なんて知れたもんや」
この一言がぜんぶ物語っとる。
会社から見たら、社員の時間なんて“安いコスト”。
多少残業してもらっても、それほど痛くない。だからすぐ頼んでくる。
でも、こっちにとってはちゃう。
その1時間の残業の裏には、
- 子どもを風呂に入れる時間
- パートナーと一緒にご飯を食べる時間
- 自分の体を休める時間
こういう「二度と戻らないもの」が詰まっとる。
データで見ても、日本の長時間労働は“効率悪い働き方”
ちょっとだけ“社会性エビデンス”も話させてな。
いろんな調査でも、日本は長時間労働のわりに生産性(時間あたりの成果)が低いって言われとる。
要するに、
「長く働いとるけど、そのわりに稼げてへん国」
ってことや。
現場で働いとる人なら肌感覚で分かると思うけど、
疲れ切った頭と体で続ける仕事は効率ガタ落ちやし、ミスも増える。
「量をこなしているように見えて、実はロスが積み重なっているだけ」というパターンも多い。
実際は残業ありきで生産組みよるから、効率化意識がとことん薄いのが実態じゃろな。
結論──残業は“安定したお得な収入”やなく、“ご機嫌取りの一時金”
ここまでまとめると、残業ってのは、
- 収入としては不安定
- 会社都合で増えたり減ったりする
- 周りの空気に振り回されやすい
っていう、かなり危なっかしい土台の上に立ってる。
「今月残業多かったし、ちょっと贅沢してもええか!」
と舞い上がるのは自由や。
でもその裏で、着実に削られている“何か”があることは、
どこかで一回ちゃんと見とかんとあかん。
残業の“本当の代償”──お金より重たいものを削ってないか?

子どもが風呂にも入らず寝落ちしていたあの日
さっき言ったけど、オレにとって一番刺さったのが、
子どもがリビングで寝落ちしてたあの夜や。
- 今日は遅くなるって分かっていても、どこかで「起きててくれるかも」と期待する
- 玄関をそっと開けたら、部屋は明るいのに誰も動かん
- 覗いたら、子どもが風呂も入らんと、丸まって寝てる
その瞬間に出てきたのが、
「オレ、何のために働いとるんや?」
という言葉やった。
会社にとっては、
「今日も残業してくれて助かったわ」
で終わり。
でも家族の側からしたら、
「今日もパパは帰ってこなかった」
と記憶される日や。
“食う・風呂・寝る”だけの人生になってないか?
残業が続くと、1日の流れがこう固定されていく。
- 朝、眠い目こすって出社
- 昼間はバタバタ仕事
- 夕方にはヘトヘトやのに、ここからが本番みたいに残業
- 夜遅く帰ってきてシャワー浴びて、飯かき込んで寝るだけ
これを何ヶ月も続けてみ。
ある日ふと鏡を見たら、
「あれ? なんか自分の顔、死んだ魚の目してへんか?」
って思う瞬間が来る。
“生きるために働く”はずが、
いつのまにか“働くために生きてる”になってた。
これに気づいた時の虚しさは、正直、体の疲れよりキツい。
残業を頑張っても、評価はほとんど上がらない現実
現場では、「いつでも残業を受けてくれる人」はたしかに重宝される。
でもそれは **“評価される” というより “都合よく使いやすい”**という意味に近い。
- 忙しい時は真っ先に声がかかる
- 暇になったら「もう大丈夫」と切られる
- 残業時間が増えても、昇格・昇給にはほぼ反映されない
上からしたら、
「あいつは残業してくれるから助かる」
という“便利なコマ”なんよな。
その縮図が、
課長の「人件費なんて知れたもんや」
って言葉に全部出てる。
未来工業の「残業禁止」が示してくれているもの
岐阜の電設資材メーカー・未来工業は、
残業全面禁止・報連相禁止・でも黒字経営という変わった会社や。
そこで創業者が言っていたのが、
「残業なんてのは、会社の管理能力が低いという証拠だ」
って言葉。
長時間働かせて“頑張ってる感”を出してるだけで、
本来は仕組みで効率を上げるべきやろ、という考え方や。
海外でも、
- 残業しまくる社員 = 仕事の組み立てが下手な人
- 残業せず成果を出す社員 = 優秀な人
と見られる文化が主流になりつつある。
日本だけがいまだに、
「長く残ってる=頑張ってる」
という昭和の価値観を引きずっとる。
結論──残業で増えるのは数万円、失うのは“二度と戻らない時間”
ここまで整理すると、残業で増えるのはせいぜい数万円。
でも失っとるのは、
- 子どもと遊べた時間
- パートナーと笑いながら飯食えた時間
- 体を休めて回復できたはずの時間
- 趣味や勉強にあてられたであろう時間
こういう**「人生の余白」全部**や。
お金は、後から取り返すチャンスがある。
でも子どもが待っていた“あの夜の30分”は、二度と戻ってこん。
じゃあなぜ、オレたちは残業に頼ってしまうのか?

“残業してなんぼ”という古い価値観の呪い
まずデカいのは、昭和時代から続く価値観や。
- 「残業こそ男の稼ぎ方や」
- 「定時で帰るやつは半人前」
- 「働けるうちは働いとけ」
こういう言葉を浴びて育つと、
**「残業してない自分=ダメな自分」**みたいな感覚が、無意識に刷り込まれる。
でも現実はどうや?
物価も税金も上がりっぱなしで、
昔みたいに「残業すりゃするほど豊かになる時代」やない。
基本給が低い&昇給ほぼナシの給料設計
製造・物流・建築みたいな現場の給料体系は、
たいていこうなってることが多い。
- 基本給は抑えめ
- 昇給は年に数千円レベル
- ボーナスも不安定
- 「残業込み」でようやく生活できる前提
つまり会社としては、
「残業してもらわんと生活成り立たんような基本給」
にわざと設計してるとも言える。
実際オレも、交代勤務を抜けて定時メインの働き方に変えようとしたとき、
課長からこう言われた。
「お前、基本給だけじゃ生活きついやろ?
交代勤務、戻らんか? 心配しとるんぞ〜」
いやいや、絶対“心配”ちゃうやろと。
人手足りんから、ただ戻したいだけやろと。
でもこの一言でハッキリ分かった。
「会社は、社員が“残業なしでは暮らせない”前提で給料を組んでる」
だからこそ、残業に頼らざるを得ん人が増える。
そしてその仕組みの上で、会社はずっとあぐらをかいていられるわけや。
60代のおっちゃんは“税金の壁”を知ってるから残業を断る
もうひとつ、おもしろい対比がある。
現場の60代のおっちゃん連中は、年金+勤務で働いとる人も多い。
そういう人に限って、こう言うんよ。
「マサルくん、ワシ残業したら税金で全部持ってかれるから断っとるんや」
つまり、
- 余計に働いた分が、そのまま税金や社会保険で持っていかれる
- 年金の調整も入るから、トータルで見ると損
ってことを、ちゃんと体感で分かっとる。
若い世代は「残業せんと手取り足りん…」と追い込まれ、
上の世代は「残業したら損やからやらん」とサラッと断る。
どっちにしても、
残業が“みんなを幸せにする仕組み”にはなってへんってことや。
会社にとって残業は“超都合のええ調整弁”
さっきも触れたけど、会社にとって残業は、
- 忙しいときだけ人を増やした扱いになる
- 暇なときは一瞬でゼロにできる
- 正社員を増やすリスクを取らなくていい
という、超便利な仕組み。
だから平気で、
課長の「人件費なんて知れたもんや」
みたいな発言が出てくる。
こっちにとっては命の時間。
あっちから見れば、調整しやすいコスト。
このギャップはずっと埋まらん。
“みんな残ってる”という空気圧力
現場のもう一つの敵は、“空気”や。
- 周りが残ってると、自分だけ帰りにくい
- スケベ残業組に合わせないと「空気読めへん」と言われる
- 早く帰ろうとすると「今日は早いな?」と軽くジャブ
こういう見えない圧力に、毎日少しずつ押されていくと、
自分の意志で残業してるのか、
空気に流されて残業してるのか、分からんくなってくる。
人間は「失うこと」に過敏に反応する生き物
心理学的にも、人間は
得する喜び < 失う痛み
で動くと言われてる。
残業を減らしたときに、
- 手取りが減るかもしれない
- 生活が苦しくなるかもしれない
- 周りから文句言われるかもしれない
この「かもしれない」が怖くて、一歩が踏み出せん。
でも、それは“弱さ”やなくて自然な反応や。
あかんのは、自分を責めて何も変えようとせんことの方や。
残業に振り回されないために──現場でもできる“小さな一歩”

ここからが一番大事なところや。
いきなり「残業ゼロにしよう!」なんて無茶は言わん。
カルピスの原液を一気飲みするみたいなマネをしたら、絶対続かへんからな。
やることは、あくまで 「現場で今日から試せる一歩」 だけや。
「残業ゼロでも生きられるライン」を一回計算してみる
まずは紙とペン一本でできることから。
- 家賃
- 水道光熱費
- 食費
- 通信費
- 車・ガソリン代
- 子ども関連
- サブスク
これを全部書き出して、
「残業なしの基本給だけで、どこまで払えるか?」を一回計算してみる。
ここで大事なのは、
「足りひんから終わり」やなくて、「じゃあどこ削れそう?」までセットで考えること。
オレもこれを徹底的にやって、
基本給だけで生活しても、おつりが出る
くらいまで支出を最適化した。
その土台があったからこそ、課長に
「交代勤務戻らんか?」
「残業した方が楽やぞ〜」
と言われても、
「結構です」
と、間髪入れずに言えた。
この 「残業ゼロでもギリギリ耐えられるライン」 を知ることが、
残業に振り回されんためのスタート地点になる。
残業代は“メイン収入”やなく“あぶく銭扱い”にする
次の一歩は、残業代の位置づけを変えることや。
残業代 = 生活費の補填
やなく、
残業代 = たまたま降ってきたボーナス
と考える。
- 残業代は基本、貯金・投資・予備費に回す
- 生活費は、できるだけ基本給で完結させる
こうすると、残業が急になくなっても、
家計が即死することはなくなる。
定時内で終わらせる小技をちょっとずつ増やす
「仕事が早い人=残業が少ない人」
今の時代、評価されるのはこっちや。
別にすごい才能はいらん。
やれることはこんな小さいことばっかりや。
- 朝イチにその日の段取りをメモる
- 探し物をなくすために整理整頓する
- 無駄話を5分減らす
- 手が空いたら、1分だけでも人の仕事を前倒しで手伝う
この「ちょっと」が積み重なると、
“定時で帰れる日”がポンッと増える。
“帰るための言い訳”をひとつ持っとく
現場では、“正しいこと”より“空気”が勝つ場面が多い。
だからこそ、空気に呑まれんための“防具”として、
- 「今日は保育園のお迎えなんで」
- 「このあと通院なんで」
- 「家の用事で、今日は早く帰るよう言われてて」
こんな“帰る理由”を一個持っとくと、かなり楽になる。
最初は言い出しにくいかもしれんけど、
一度口にしてみたら意外とあっさり通ったりする。
それを繰り返せば、周りも、
「あいつはそういう日がある人」
として認識してくれるようになる。
躊躇なく堂々と一切の迷いなく、まっすぐに言い切る事が大事だ。
“家族の時間を優先していい”と自分に許可を出す
最後の一歩は、考え方の問題や。
- 「家族のことより仕事優先」
- 「稼ぐのが男の役目」
- 「家庭より工場」
こういう価値観で育ってきた世代ほど、
家族時間を取ることに罪悪感を感じがちや。
でも、あの 子どもが風呂も入らず寝落ちしてた夜 を思い出してほしい。
あの瞬間の胸の痛みこそが、本当の答えなんやと思う。
家族は未来の自分や。
残業はその場しのぎの追加収入や。
どっちを大事にするかは、本当はもう分かってるはずや。
最後に──残業に人生を支配させるな。「誰のために働いとるんや?」を忘れへんこと
ここまで読んでくれてありがとう。
別にオレは「残業するな」とか「今すぐ辞めろ」なんて言うつもりはない。
- 住宅ローンがある
- 子どもの学費が心配
- 貯金がまだ少ない
いろんな事情があるのは分かっとる。
だからこそ、いきなりゼロにするんやなくて、「振り回されない状態」に近づいてほしいんよ。
- 残業ありきで生活を組まない
- 残業がゼロになっても、即死しない家計を作る
- 家族の時間を削る残業には、一回“待った”をかけてみる
そして、夜遅く帰った日。
子どもの寝顔を見たとき、心の中でこう自分に聞いてみてほしい。
「オレ、誰のために働いとるんや?」
この問いを忘れへん限り、
きっとあんたは、残業に支配されるんやなくて、
自分の時間と人生を取り戻す側に回れるはずや。