人員配置のミスは「フォーメーションを間違えたサッカーチーム」のようなもの。
サッカーの試合でゴールキーパーをストライカーに、ディフェンダーをオフェンスに置いたら、勝てるはずがない。にもかかわらず、工場の現場では、適性も考えずに適当な人選で回そうとするリーダーが後を絶たない。
今日の申し送り
「人を活かす」ことができないリーダーは、組織を潰す。適材適所の配置こそが、現場のパフォーマンスを最大化する鍵だ!
「このメンバーじゃ仕事が回らない…」その悩み、配置の問題かも?
現場リーダーの仕事の中でも、「人の配置」 はめちゃくちゃ重要だ。
「なんでこの人、こんなに仕事できないんだ?」
「このメンバーでやれって言われても、正直キツイ…」
こんな悩みを持っているリーダーも多いはずだ。
でもちょっと待ってほしい。
その部下、本当に「仕事ができない」んだろうか? もしかすると、適性に合っていないだけかもしれない。
実は、日本戦国史最強レベルの武将 武田信玄 は、「適材適所の配置」で最強の軍団を作り上げた人物だ。
彼のやり方を現場に応用すれば、今のメンバーでももっと戦える部隊(=現場チーム)を作ることができるかもしれない。
本記事では、武田信玄の人材配置術を学び、現場の人員配置を改善する方法を紹介 する。
さあ、戦(しごと)に勝てる組織を作ろうじゃないか!
■ 武田信玄の「適材適所」戦略とは?

武田信玄といえば「風林火山」で有名な戦国大名だ。
彼の軍団は**「最強の騎馬軍団」** と呼ばれ、戦国時代を席巻した。
しかし、彼の強さの秘密は「戦術」だけではない。「人の使い方」 にこそあったのだ。
人は使い方次第
武田信玄の軍には、非常に勇敢で攻撃的な武将もいれば、慎重で臆病とも言える性格の武将もいました。一般的に、戦場では勇敢な者が重宝され、臆病者は評価されにくいものですが、信玄は違いました。
信玄は、ある臆病な武将を戦場で重要な**「目付け役(監察官)」**として配置しました。目付け役とは、軍の状況を冷静に観察し、問題点を報告する役職です。
この武将は慎重な性格ゆえに、**「敵の動きをよく観察し、小さな異変でもすぐに気づく」**という長所を持っていました。その結果、敵の奇襲や伏兵の存在をいち早く察知し、何度も武田軍の危機を救ったと言われています。
信玄人事登用のポイント
- 人の短所は、見方を変えれば長所になる
- 「臆病」とされる性格も、「慎重で細かいことに気づく」と捉えれば強みになる。
- 適材適所の配置が組織の力を最大化する
- ただの戦闘要員として扱っていたら埋もれてしまう才能も、適切な役職に就けることで大いに活躍できる。
- 信玄のリーダーシップ
- 武田信玄は「すべての人材には適した役割がある」と考え、短所をうまく活かす配置を行っていた。
工場勤務にも応用できる!
この話は、工場や職場でも活かせます。
- 仕事は遅いがミスをしない人 → 品質管理に向いているかもしれない
→ 細かい点に気づける力を活かせる。 - 話すのが苦手な人 → 一人で集中する作業が向いているかもしれない
→ 事務作業や検査業務で力を発揮できる。 - 細かいことを気にしすぎる人 → 安全管理やチェック業務に適しているかもしれない
→ ヒヤリハットの発見が得意になる。
戦国最強騎馬軍団
武田信玄のように、人の特性を見極め、適材適所の配置を意識すれば、チームの力を最大限に発揮できるはずです!
信玄の家臣たちは、それぞれ得意分野に特化して配置されていた。
- 山県昌景(やまがた まさかげ):騎馬隊の指揮官。冷静かつ的確な判断力があり、機動戦に長けていた。
- 高坂昌信(こうさか まさのぶ):防御の名人。城攻め・守りの配置を完璧にこなした。
- 馬場信春(ばば のぶはる):統率力が高く、味方の士気を上げる天才。現場のまとめ役。
- 内藤昌豊(ないとう まさとよ):知略に優れ、敵の裏をかく作戦を得意とした。
このように、信玄は「適材適所」を徹底し、それぞれの強みを最大限に活かしたのだ。
これは、現場の人員配置にもそのまま応用できる考え方だ。
「誰をどこに配置するか?」で、チームの力は大きく変わる。
■ 工場現場で起こりがちな「配置ミス」
実際の工場現場でも、「適材適所」ができていないと、こんな問題が起こる。
✅ スピード重視の作業に、慎重すぎる人を配置する
→ いつまでも作業が終わらず、効率が悪くなる。
✅ チームワークが求められる工程に、協調性のない人を配置する
→ トラブルが増え、現場がギスギスする。
✅ 細かい確認が必要な工程に、大雑把な性格の人を配置する
→ ミスが増え、手戻りが発生し、結局生産性が下がる。
こうしたミスマッチは、本人の努力だけではどうにもならない。
リーダーが「この人はこの仕事に向いているか?」を見極めなければ、チームはまともに機能しない。
■ 適材適所ができないと、現場はどうなるか?
もし、武田信玄が適材適所を無視して、こんな配置をしていたらどうなっていたか想像してほしい。
❌ 騎馬戦の名人・山県昌景に、守備専門の役割を与えたら?
→ 彼の機動力は活かせず、普通の武将に成り下がる。
❌ 知略家・内藤昌豊に、突撃戦の指揮をさせたら?
→ 頭を使う戦術ができず、敵の罠にはまる可能性が高くなる。
これ、工場でも同じことが言える。
適材適所ができなければ、せっかくの人材も本来の力を発揮できず、無駄になってしまう のだ。
■ まとめ:適材適所は「配置の工夫」で解決できる
武田信玄のような強いチームを作るには、「個々の能力を見極め、適材適所に配置すること」が不可欠だ。
そして、それは現場リーダーである 「あなた」 にしかできない仕事だ。
✅ 人の適性を見極め、最適なポジションに配置する
✅ 配置を変えることで、チームの力を最大限に引き出す
✅ 「この人はダメ」ではなく、「この仕事に合っていないだけかも?」と考える
この視点を持つだけで、今のメンバーでも戦えるチームを作ることができる!
では、具体的に 「どうやって適材適所を見極め、配置すればいいのか?」
次の中編では、「人の特性を見抜く方法」と「配置の具体例」 を深掘りしていこう!
【中編】武田信玄に学ぶ!現場リーダーのための「適材適所」の見極め方と配置戦略

■ 適材適所のために必要な「人の見極め力」
前編では、武田信玄が家臣たちを適材適所に配置することで、最強の軍団を築いた話をした。
では、現場リーダーはどうやって部下の適性を見極め、最適な配置を決めればいいのか?
まず大事なのは、「人の強み・特性を知ること」 だ。
適材適所とは、「ダメなやつを切ること」ではなく、「その人の能力を活かせる場所を見つけること」だからだ。
■ 人の特性を見抜く3つのポイント
部下の適性を見極めるためには、以下の3つのポイントをチェックしよう。
① 【動き方】 じっくり派 or スピード重視派
人には、「慎重にじっくりやるタイプ」 と、「とにかくスピード重視で動くタイプ」 がいる。
- じっくり派:正確性が高いが、スピードは遅め。品質管理や検品などに向いている。
- スピード派:手が速く、作業スピードは速いが、ミスが出やすい。流れ作業や単純作業に向いている。
配置ミスの典型例として、「じっくり派」をスピード重視の工程に置いてしまうことがある。
この場合、「もっと早くしろ!」と指示しても無意味だ。適性に合わない仕事をしているだけだから、配置を変えれば解決することが多い。
② 【考え方】 創意工夫型 or 指示待ち型
- 創意工夫型:「こうした方が良くないですか?」と改善提案ができるタイプ。新しい工程やトラブル対策に強い。
- 指示待ち型:言われたことを正確にこなすことが得意なタイプ。ルーティン作業向き。
工場現場では、改善提案を出せる創意工夫型を「めんどくさいヤツ」と扱ってしまうことがあるが、それは大きな間違いだ。
このタイプは「品質向上」や「生産効率の改善」に貢献できる貴重な人材だから、上手く活用するべきだ。
③ 【コミュニケーション力】 チーム向き or 個人向き
- チーム向き:周囲と連携しながら動くのが得意なタイプ。ライン作業やチームワークが必要な現場に向いている。
- 個人向き:黙々と一人でやる方が得意なタイプ。細かい作業や集中力が求められる仕事に向いている。
人間関係のトラブルは、適性に合わない配置が原因になっていることが多い。
例えば、「個人向き」の人をチーム作業に入れると、コミュニケーションが苦手で孤立しやすくなる。
逆に、「チーム向き」の人を一人作業にすると、退屈してやる気をなくしてしまう。
生産効率を重視するあまり個人向きの人材をチーム作業に配置していまい、チーム内の摩擦に発展するケースはあまりにも多い。結果、生産効率もチームのモチベーションだだ下がり。リーダーが人を見ていない典型だ。
■ 適材適所を実現する「配置の考え方」
部下の特性が見えてきたら、次は「どこに配置するか?」を決める段階だ。
ここでは、工場現場でよくある工程を例に、適材適所の配置パターンを紹介する。
【パターン①】 流れ作業がメインの現場
✅ スピード派(手が速い) → 加工・組み立て工程に配置
✅ じっくり派(正確性が高い) → 検品・品質チェックに配置
流れ作業の現場では、「作業スピード」と「ミスの少なさ」のバランスが重要になる。
スピード派はどんどん作業を進められるが、ミスも出やすい。
そこで、ミスがないかを確認する役として、じっくり派を配置するとバランスが取れる。
【パターン②】 チームワークが求められる工程
✅ チーム向きの人材 → ライン作業や複数人での組み立て作業に配置
✅ 個人向きの人材 → 研磨・塗装・修理など、1人で集中する仕事に配置
このパターンでは、「周囲との連携」が必要かどうかを基準にして配置を決める。
例えば、個人向きの人をチーム作業に入れると、「空気が読めない」「協力できない」と思われがちだ。
逆に、チーム向きの人を1人作業にすると、「誰とも話せないのがストレス」となり、モチベーションが下がる。
【パターン③】 改善が求められる現場
✅ 創意工夫型 → 工程改善や新人教育の役割を任せる
✅ 指示待ち型 → 標準化された作業工程を担当させる
現場を良くするためには、「新しいアイデアを出せる人」が必要だ。
創意工夫型の人材を積極的に活用し、改善活動に関わらせることで、現場全体の効率が上がる。
逆に、指示待ち型の人には、「決められたことを正確にこなす工程」を任せると、安定した品質が保てる。
■ まとめ:「この人にこの仕事は向いているか?」を常に考えよう
武田信玄は、家臣の強みを見極め、それぞれの能力を最大限に発揮できる配置をした。
工場現場のリーダーも、同じように部下の適性を見極め、最適な配置をすることが求められる。
✅ 人の特性(スピード、考え方、コミュ力)を見抜く
✅ 作業工程の特性とマッチさせる
✅ 向いていない仕事をやらせて苦しませるのではなく、適性に合った仕事を任せる
この視点を持つだけで、現場の生産性は大きく向上する。
では、次の後編では「適材適所をさらに活かすためのリーダーの役割」と「実践例」を紹介しよう!
【後編】武田信玄に学ぶ!現場リーダーが実践すべき「適材適所」配置の極意

■ 適材適所の配置を成功させるために、リーダーがやるべきこと
前編・中編で、適材適所の重要性と、部下の適性を見極める方法を説明した。
だが、知識を得ただけでは意味がない。
大事なのは 「実際に配置を変えて、現場のパフォーマンスを上げること」 だ。
武田信玄は、部下をただ配置するだけでなく、彼らが 「自分の強みを活かせる環境」 を作り、結果を出させた。
それと同じように、現場リーダーにも「適材適所を活かすための仕掛け作り」が求められる。
ここでは、リーダーが実践すべき3つのステップ を紹介する。
■ 【ステップ①】部下の適性を見極め、試験的に配置を変える
人の適性は、一緒に仕事をしながら見極めるのが一番だ。
ただし、適性を判断するには 「実際にやらせてみる」 ことが不可欠だ。
✅ まずは「試験配置」をやってみる
いきなり配置を固定するのではなく、「まず1週間、この工程でやってみよう」 という形でテストをする。
試験的に配置を変えることで、本人の反応や成果をチェックできる。
✅ 「合わない」と感じたらすぐに修正する
適性が合っていないと感じたら、無理に続けさせず、別の仕事に回す。
人は「向いていない仕事」にはストレスを感じ、ミスや不満が増える。
配置ミスを放置せず、すぐに修正できるようにすることが重要だ。
✅ 部下に「どう感じたか?」をヒアリングする
試験配置の後は、本人の意見も聞いてみよう。
「やりやすかったか?」「難しかったか?」などを確認することで、適性を見極めるヒントが得られる。
■ 【ステップ②】配置を定着させ、パフォーマンスを最大化する
試験配置で適性が見えてきたら、次は「定着させる段階」だ。
ここで重要なのは、部下が自分の役割に自信を持ち、やる気を出せる環境を作ること だ。
✅ 「お前の役割はココだ」と自覚させる
配置を決めたら、部下に明確に伝える。
「お前はこの仕事が得意だから、ここで活躍してほしい」と伝えることで、本人も自覚を持つようになる。
人は、「自分が必要とされている」と感じると、仕事への意欲が上がる。
✅ 「その役割で成長するためのサポート」をする
配置が決まっても、最初は慣れない部分もある。
リーダーとして、成長をサポートしながら見守ることが大事だ。
- 「ここはよかったぞ!」と 強みをフィードバック する
- うまくいかない部分は、 改善のアドバイス をする
適材適所は、配置したら終わりではなく、配置した後の成長をどうサポートするかがカギ となる。
■ 【ステップ③】適材適所をさらに活かす「チームビルディング」
最後に、適材適所の配置をさらに活かすためには、「チームとしての動き方」 も考えなければならない。
ただ配置を決めるだけでは、チームとしてのまとまりが生まれない。
リーダーとして、チームのバランスを取りながら、相乗効果を生む仕組みを作ることが大切だ。
✅ チームメンバーに「役割」を理解させる
例えば、武田信玄の軍団では、それぞれの役割が明確だった。
- 山県昌景は「突撃隊」
- 高坂昌信は「防御の専門家」
- 馬場信春は「全体の統率者」
工場現場でも同じことが言える。
「お前は加工担当」「お前は品質チェック担当」「お前は工程改善担当」と、各自の役割を明確にすることで、チームとしての機能が向上する。
✅ 「お互いの強み」を理解させる
リーダーが各自の適性を理解するだけでなく、チームメンバー同士にも、お互いの強みを理解させること が重要だ。
例えば、
- 「Aさんは作業スピードが速いから、加工を任せよう」
- 「Bさんは細かいミスを見つけるのが得意だから、検品をお願いしよう」
といった形で、お互いの強みを認識させることで、無駄な衝突が減り、スムーズな連携が生まれる。
✅ 配置を「固定」しすぎない柔軟性を持つ
適材適所は重要だが、時には「ローテーション」を取り入れることも有効だ。
- 短期間の異動で、チームの多様性を高める
- 他の役割を経験させることで、より適性が見えることもある
一度決めた配置にこだわりすぎず、「より良い配置はないか?」と常に考えることで、さらにチーム力が上がる。
■ 実践例:「適材適所の配置変更でチームが劇的に変わった」
ここで、実際に適材適所の配置を工夫することで、現場の状況が大きく改善したケースを紹介する。
【ケース①】
問題点:「スピード重視の工程に、慎重派の社員を配置してしまい、作業が遅れていた」
改善策:「慎重派を品質チェック工程に回し、スピード派をメイン作業に配置した」
結果:「スピード派が作業を進め、慎重派がミスを減らす形になり、生産効率が20%アップ!」
【ケース②】
問題点:「コミュニケーションが苦手な社員を、チーム作業の工程に配置してしまい、トラブルが多発」
改善策:「その社員を1人で集中できる作業に回し、チーム作業には協調性のあるメンバーを配置」
結果:「人間関係のストレスが減り、作業のミスも減少!」
適材適所の配置は、単に「向き不向きを考える」だけではなく、「どうすればチーム全体のパフォーマンスが上がるか?」を考えることが重要 なのだ。
■ まとめ:適材適所ができるリーダーが、現場を強くする!
✅ 人の適性を見極め、試験的に配置を変える
✅ 適性に合った配置を定着させ、成長をサポートする
✅ チームの役割を明確にし、お互いの強みを理解させる
これができるリーダーは、現場の生産性を飛躍的に向上させることができる。
武田信玄のように、「人を活かす」ことで、最強のチームを作ろう!
【総まとめ】武田信玄に学ぶ!現場リーダーの「適材適所」配置術
適材適所ができないリーダーは、現場を潰す。
部下のパフォーマンスが低いのは、本人の問題ではなく、配置ミス が原因であることが多い。
■ 【前編】適材適所の重要性
武田信玄は、家臣の強みを活かし、最強の軍団を作り上げた。
工場現場でも、適正な配置 ができないと、生産性の低下やストレス増大を招く。
■ 【中編】部下の適性を見極めるポイント
適材適所を成功させるには、以下の3点をチェックすることが重要。
✅ 動き方:スピード派 or じっくり派
✅ 考え方:創意工夫型 or 指示待ち型
✅ コミュ力:チーム向き or 個人向き
■ 【後編】リーダーが実践すべき配置戦略
- 試験配置 で適性を見極める
- 役割を明確に し、成長をサポート
- チーム全体のバランスを考えた配置 を行う
適材適所を極めれば、今のメンバーでも「戦えるチーム」を作れる!
要は組み合わせがとても大事だって事。
あとは実践あるのみ。目指せ令和の名将リーダー